音楽制作者の87%が、すでに制作のどこかでAIを使っています。多くはマスタリングやステム分離、ノイズ除去に活用しています。作曲に使う人もいます。SunoやUdioのようなジェネレーターで楽曲を丸ごと作る人も増えています。
LabelGridは、そのすべてを受け付けます。条件はひとつ、どう作ったかを正直に申告することだけです。
このガイドでは、受け付けるもの、受け付けないもの、開示の仕組み、そして各ストリーミングサービスが求める要件を解説します。
受け付けるもの
LabelGridは、AI支援およびAI生成の音楽を主要な音楽配信サービスすべてに配信します。一律の禁止も、配信数の制限も、順番待ちもありません。
AI支援とは何を指すのでしょうか。ミックス、マスタリング、ノイズ除去、ステム分離、アレンジの提案、サウンドデザインにAIツールを使いつつ、最終的な仕上がりはご自身でコントロールしている状態を指します。
AI生成とは何を指すのでしょうか。メロディーやボーカル、インストゥルメンタル、あるいは楽曲そのものをプロンプトから作り出すなど、AIが創作の主役になっているコンテンツです。Suno、Udio、そして類似のサービスがこれにあたります。
どちらも歓迎です。この区別が関わるのは開示の場面であって、配信するかどうかとは関係ありません。
受け付けないもの
次の3つに該当すると、リリースは却下されます。
なりすまし。実在するアーティストの書面による許可なく、その声を模倣するAI生成ボーカルです。ディープフェイクのボーカル、クローン音声、人を欺くためのそっくり音声はいずれも認められません。
虚偽のメタデータ。AI生成トラックに実在アーティストの名前を記載したり、クレジットでAIの関与を隠したりすることです。AIが作ったのであれば、メタデータにもそう記す必要があります。
大量生産のスパム。ストリーミングのアルゴリズムを操作する目的で、手間をかけないAIトラックを何百曲もアップロードする行為です。LabelGridはこれを審査で確認し、各DSPも積極的に削除しています。Spotifyは12か月で7,500万曲のスパムトラックを削除しました。
開示の仕組み
LabelGridでは、すべてのリリースに2つのレベルでのAI開示が必要です。
アートワーク(リリース単位)。アートワークをアップロードする際に、AI不使用、AI支援、AI生成のいずれかを申告します。アルバムジャケット、シングルのアートワーク、その他すべてのビジュアル素材が対象です。
オーディオ(トラック単位)。各トラックにも同じ3つの選択肢があります。1つのリリースの中で、人の手による曲、AI支援の曲、完全にAI生成の曲が混在していてもかまいません。それぞれを個別に申告します。
これらの項目は任意ではなく必須です。省略はできません。そして申告した情報は、配信先のすべてのDSPに送信されます。
なぜリリース単位ではなくトラック単位なのでしょうか。たとえば12曲入りのアルバムに、人が録音した曲が10曲、AI支援のインタールードが2曲含まれることもあるからです。リリース単位の一括開示では、それを正確に表せません。トラック単位であれば、DSPが必要とする粒度で情報を伝えられます。
各サービスが求める要件
AIの開示への対応は、DSPごとに異なります。LabelGridでの申告内容は各サービスの要件に自動で対応づけられますが、それぞれが何を求めているかを知っておくと役立ちます。
Spotifyは、2025年9月にAI開示のDDEX標準を採用しました。トラックはクレジット上でラベル付けされ、ボーカル、楽器演奏、ポストプロダクションへのAIの関与が示されます。AI音楽がペナルティを受けたり、表示順を下げられたりすることはありません。Spotifyは、どう作られたかにかかわらず、すべての音楽を平等に扱います。禁止しているのは、無許可のAI音声クローンとなりすましです。
Apple Musicは、2026年3月にTransparency Tagsを導入しました。アートワーク、トラック、作曲、ミュージックビデオの4つのカテゴリーがあります。何が「実質的な」AI利用にあたるかは、レーベルやディストリビューターが判断します。今後の新規コンテンツにはタグの付与が必須です。
YouTubeは、視聴者が本物と見間違えかねない、リアルなAI生成要素を含むコンテンツに開示を求めています。2025年7月以降の収益化では、コンテンツが「十分にオリジナルかつ本物である」ことが条件です。大量生産されたAIコンテンツは、その条件を満たしません。
TikTokが最も厳格です。ラベルのないAIコンテンツには、警告ではなく即座にストライクが科されます。2025年下半期だけで、51,618件の合成メディア動画が削除されました。楽曲がTikTokで使われる可能性があるなら、適切なラベル付けは欠かせません。
Deezerは、AI生成音楽を積極的に検出しています。検出した楽曲にはタグを付け、アルゴリズムによるおすすめから除外します。同社の報告では、1日のアップロードの39%がAI生成であり、AI音楽のストリームのうち最大85%が不正だとしています。
Bandcampは、2026年1月にAI音楽を全面的に禁止しました。LabelGridから配信する場合、AI生成トラックはBandcampには届きません。
著作権について知っておきたいこと
AI生成音楽の法的な位置づけは今も変化の途上にありますが、はっきりしている点もいくつかあります。
米国著作権局は2025年1月、AI生成物が著作権で保護されるのは、意味のある人間の創作的関与が含まれる場合に限ると判断しました。プロンプトだけでは要件を満たしません。Sunoにプロンプトを打ち込んで生成ボタンを押しただけなら、その出力の著作権を持てない可能性が高いでしょう。一方、AI生成のインストゥルメンタルに自分のボーカルを重ね、アレンジし、ミックスし、その過程で創作上の判断を重ねたのであれば、その人間の寄与は著作権の対象になります。
グラミー賞はAI支援の音楽を選考対象として受け入れていますが、賞が贈られるのは人間の創作部分に対してのみです。楽曲には「意味があり、ごくわずかとは言えない」人間の創作的寄与が求められます。
実務上のポイントは、創作の過程を記録しておくことです。どのAIツールを使ったか、どんなプロンプトを入力したか、どの要素を自分で作ったか、どんな創作上の判断を下したかを記録に残しましょう。万一、著作者であることを証明する必要が生じたとき、この記録が役立ちます。
アップロード前のチェックリスト
LabelGridでAI支援またはAI生成のリリースを申請する前に、次の点を確認してください。
- 権利を確認する。AIツールを使った場合は、その利用規約を確認しましょう。Sunoなどの一部のサービスでは、出力の権利を持つのは利用者ではなく運営側だと定めています。配信する権利が自分にあるかを必ず確かめてください。
- AIの関与を正確に申告する。アートワークの開示はリリース単位で、オーディオの開示は各トラックで設定します。実際より控えめに申告してはいけません。
- メタデータを確認する。AIトラックに実在アーティストの名前を載せない。誤解を招くクレジットを付けない。アーティスト名は、ご自身またはプロジェクトの名称を反映したものにしてください。
- DSPごとのルールを確認する。リリースは選択したすべてのDSPに配信されます。TikTokやBandcampのようにルールが厳しいサービスがある場合は、特定のリリースで配信先から外すかどうかを検討しましょう。
- 記録を残す。使用したAIツール、自分が加えた人間の入力、下した創作上の判断を、すぐに取り出せる場所に保管しておきましょう。
- なりすましを避ける。クローン音声、実在アーティストのそっくり音声、他のアーティストのビジュアルを真似たアートワークは使わないでください。
よくあるご質問
LabelGridは完全にAI生成された音楽も受け付けますか?
はい。LabelGridはAI支援の音楽も、完全にAI生成された音楽も配信します。条件は、アップロード時にAIの関与を正確に開示することだけです。なりすまし、ディープフェイク、虚偽のメタデータは認められません。
どのようなAI開示が必要ですか?
2つの申告が必要です。リリース単位でのアートワークのAI利用と、トラック単位でのオーディオのAI利用です。それぞれにAI不使用、AI支援、AI生成の3つの選択肢があります。この情報はすべてのDSPに自動で送信されます。
AI生成の音楽は著作権で保護されますか?
米国著作権局は、AI生成物が著作権で保護されるのは意味のある人間の創作的関与が含まれる場合に限ると判断しました。プロンプトだけでは要件を満たしません。ボーカルやアレンジ、ミックスの判断といった実質的な人間の創作的入力を加えれば、その寄与は著作権の対象になります。創作の過程を記録に残しておきましょう。
どのストリーミングサービスがAI音楽を受け付けますか?
Spotify、Apple Music、YouTube、Amazon Music、Deezer、TikTokは、いずれも開示要件のもとでAI音楽を受け付けています。Bandcampは2026年1月にAI音楽を全面的に禁止しました。各サービスでラベル付けの要件は異なりますが、LabelGridの開示項目が自動で対応づけます。
はじめ方
リリースはapp.labelgrid.comからアップロードします。AI開示の項目はアップロードの流れの中に表示され、アートワークはリリースタブ、オーディオは各トラックのマスタータブで設定します。
ポリシーの詳細は、AI生成コンテンツのガイドをご覧ください。
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